朝日町エコミュージアム|大朝日岳山麓 朝日町見学地情報

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 今もやっている遊びに「春の山遊び」がある。山菜がうまく、りんごの仕事が忙しくなる前の春盛りに、冬から開放された喜びを身体の内外から味わうものになっている。
 村のみんなに山遊びのことを連絡し、当日の役割分担を決め、村で一番高い高森山か、村を一望できる田の頭の古峯神社に歩いて登り、途中の旧道の由来や清水、種まきこぶしなどをお年寄りから聞きながら,春の陽を浴びながら進む。その中で興味のあったものに「館山にあったお城のお姫様弥生姫が紅葉狩りにきた伝説のある「緋の沢」の話がある。そんな話を聞きながら頂上に着くと別動隊が朝から準備していた昼の宴が始まる。
 昼の宴は、山菜をふんだんに入れた「いれか汁」と鰊汁。途中採ってきた山菜をその場で天ぷらにして振る舞う。子供は自家製のりんごジュース、大人はビールに日本酒を注ぎこみ、つらかった冬の話や四方山話が満開になる。帰りはいっぱい気分でぽかぽか陽気の中をゆっくりと下って来る。そして段取りを含め三日の春遊びが終了する。…と思ったら公民館に入り、山遊びの反省会となる。山から里遊びになり夜も深まっていく。これが送橋の春の山遊び。

お話 : 清野孝一郎さん(送橋)
取材 : 平成17年(2005)

 夏の送橋川での遊び。瀬になり広くなっている場所に石と草などを使ってやや大きめの池のようなものを作る。その池の水をふんどし一丁の姿で、井戸かきの要領で水を干していく。仲間数人で汗だくになってがんばるが、最初は全然水が減らない。やはり川の水が入ってくる所があり、また水止め作業を行って掻き出す。やがて岸辺の草が大きく垂れ下がるようになると魚の背中が見えてくるようになる。掻き出す動きも益々早くなり出し、のどもカラカラになってくる。一番低い所に魚が集まり始める時がもっとも興奮する。気をもんで「かぶたれ」する者が出てくる。それを尻目に魚を捕まえ篭に投げ入れる。懐かしく楽しかった夏の思い出。

お話 : 清野孝一郎さん(送橋)
取材 : 平成17年(2005)

 和紙づくりは、昭和41年頃まで夫が主に冬仕事でしていた。私も手伝いをしていたが、漉き方は1年しかしていない。和紙作りは夫の母がしていたことだが、どこから伝承されたかは分からない。古槙部落では多い時には5軒くらいで和紙作りをしていた。材料のコウゾは家の付近に植えてあるもののほか、八ッ沼などの西五百川方面から購入しソリで運んでいた。できた紙は主に障子紙として使われた。宮宿の近江屋などに納品していた。

〈製造工程〉
1.コウゾを60センチ程度の長さに切る
2.桶をかぶせて半日くらい蒸かす
3.あたたかいうちに皮をはぐ
4.村の人に委託し、皮から黒い表皮をはぎ取ってもらう
5.その白い内皮を煮る
6.すりこぎ棒より大きめの棒で叩く。(家族みんなで)
7.水を張った舟に入れる
8.目の粗い布に入れて水分をとばす
9.水にニレの根を加工したものをいれた紙すき用の舟にいれる
10.紙を漉く
11.漉いた紙を取りやすいようにクグ(草)をはさみこんで重ねる
12.万力で水分を搾る
13.厚手のトタン状のものに貼る
14.下から水蒸気をあてて乾かす
15.周囲の部分を切りそろえる
16.20枚位に束ね出荷する
※蒸かす桶は古槙和紙組合の共有だった

お話 : 清野よし子さん(古槙)
取材 : 平成17年(2005)