朝日町エコミュージアム|大朝日岳山麓 朝日町見学地情報

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 リンゴ、キハダ、トチノキ、ニセアカシヤ、夏の草花の蜜を採っている。やっぱり一番は六月に咲くトチノキだね。全ての花が蜜源だったらいいんだけれど、採蜜できるほど大量の花蜜を出してくれる植物は数えるほどしかないんだ。今となっては、東北地方のようなトチやニセアカシヤを抱えている山は最も恵まれた蜂場だね。
 採蜜は、朝早くて大変だ。朝の3時に起きて現場に向かい、夜明けと共に始める。花から集めてきたばかりの蜜は、まだジュースみたいにトロトロしている。蜂たちは、一昼夜かけて羽であおいだり、口移しで伸ばしあったりして、発酵しない濃度になるまで水分を蒸発させるんだ。だから、まだ蜂が働きに出て戻らない朝一番に採蜜しなければならないんだ。
 まず、ハチミツの入っている巣をそっと巣箱から抜き出して、思いっきり上下に振って蜂を振り落とす。落ちないでくっついている蜂は、刷毛を使ってそっと払い落とす。たまっている巣だと、一枚に一升もたまっているから重労働だね。一箱で七?八枚抜き出したら、トラックに積んである遠心分離機に持っていって、専用の蜜刀で「蜜ぶた」を切る。蜜が濃縮されると蜂たちはふたをしてしまうんだ。それから巣枠の外側に作った無駄巣も切り除く。そして遠心分離機に入れて回す。昔は手回しだったけれど、今はモーターで回している。新しい巣は、壊れないように加減して回すんだ。すると遠心力で、どんどん蜜がふっとばされて出てくるんだ。洗濯機の脱水と同じ原理だね。蜜を金網でろ過して、一斗缶に詰めて持って帰る。トチノキの季節に一箱で五升以上の採蜜を三回できたら、大収穫だな。
お話 : 安藤光男さん(宮宿)
取材 : 平成6年(1994)

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