スモークハウスファイン日記

困難から逃げない


 塩の入った大きな袋を背負わされたロバは、川を渡っているときにバランスを崩して転んでしまいました。背中の袋も川に落ち、塩は大量に溶け出してしまいました。しかし、それにより背中の荷物は軽くなり、ロバは楽々と山道を進むことができました。
 数日後、ロバは海綿をたくさん背負わされて同じ山道を歩くことになりました。そして川を渡ろうとしたとき、わざと転びました。荷物を軽くしようと考えたのです。しかし、今度は水を吸い込む海綿です。ロバは、川の水をたくさん吸い込んだ海綿の重さのために起き上がれなくなり、溺れ死んでしまいました。
 イソップ物語の「塩を運ぶロバ」ですが、この話は、楽をしよう、より大きく儲けようと手を抜いたり、中身を変えたりするなど、ずるがしこいことを考えると、それは必ずより大きな苦労や困難となって、後に跳ね返ってくるということを教えたものです。また、相手のためにならない自分本位の策を弄すると失敗するということでもあります。
 楽をしたい、トクをしたいという誘惑は、あらゆるところに潜んでいるので注意したいところです。

文明出版社「月刊 仕事の記録帖」より




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