レインボープラン推進協議会

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このレポートは、次のブログ(「http://hopi-09.cocolog-nifty.com/blog/」から本人のご了解を得てここに転載したものです。
「農ギャル」の生き生きした姿を垣間見ると同時に、「なでしこジャパン」の風が農の世界にも確かに吹き始まっているようです。(農場広報担当)


ニューファーマー・フォーラム2011レポート(NO1)
      NPO法人・レインボープラン市民農場 主任 村田 孝
            
12月15日に山形県新庄市の山形県立農業大学校「緑風館」にて行われた「ニューファーマー・フォーラム2011」に参加した。
このフォーラムへの参加を勧められた時「私のような素人が参加していいものか?」
と戸惑ったが、ネットで今回のテーマを確認するやいなや、すぐにその不安は雲散霧消となった。
そのテーマとは『女の力〜私たちの視点、そして、男性に求めるもの〜』というもの。かつて出会ったネイティブアメリカンに「男が頑張るとそれは金儲けか喧嘩にしかならない。母なる地球はやんちゃな男の子達の散らかしも、食いしん坊の食べ残しも、いつかは自分で片付けてくれると寛容に受け止めていたようだが、どうやらそうでないことに気づき始めている。今は腕まくりをして母は自分で大掃除をしようとしているところだ。そしてそれに合わせて女性の時代が来るので、その時は本当に賢く強い女性の後について行くがいい。男は女性に力を貸すだけでいいのだ。」
http://hopi-09.cocolog-nifty.com/blog/2011/10/post-1a86.html
とのアドバイスを受けていた私は、このフォーラムがそのアドバイスの真偽を確かめる良い機会に思えたのだ。(当然素敵な女性への期待感も高まる。)
そんなわけで、下心も芽生えたところで足を運んだ会場は、農業者や新規就農を志す方々が研修の場としている農業大学校の「緑風館」で、館内の掲示物を一見しただけでもこれだけの研修コースがあるのかと驚かされた。
フォーラム会場は「新農業人ネットワーク」主催だけあって、若い方々、そして今回のテーマに相応しく女性の姿も数多く見受けられ(参加者83名!)大学の講義会場という懐かしい雰囲気に少しホッとさせられた。
さて、そのフォーラムの内容だが、農業における女性の力と可能性をテーマして語り尽くされた4時間半。農業ド素人の私にも十分に魅力的で刺激的な話ばかりだった。
まずは今回「個の尊重と夫婦二人四脚で築いた夢工房」と題した基調講演を行った栗田和則氏と栗田キエ夫妻の驚くべき暮らしぶりとその哲学、生活の知恵に圧倒された。
会場で手渡された資料を要約すると
「秋田県との境に近い山形県金山町の奥の奥、杉沢集落という山に囲まれた2.5キロ程の谷あいで自給自足を貫く。二人はそれを「自創自給」と呼ぶ。
米・野菜を自給、季節の野菜とキノコを宅配し、鶏もヤギも飼う。チーズやアイスクリーム、メープルシロップ、地ビールも手作り。築200年の家と手作りのログハウスは太陽光パネルと薪で暖をとり、孫と作った薪窯でピザも焼く。ハウスで作った質の高いたらの芽が当たりヨーロッパ、中国、アメリカにも足を伸ばし、ヨーロッパ人の暮らしぶりからヒントを得て都会人に山里暮らしを伝えるべくB&B(ベッド&ブレックファースト)の宿泊所を作ったところグリーンツーリズムの先駆けにもなる。」
となる。
私の耳には、お二人が代わる代わるマイクをやりとりしながら伝える暮らしぶりは農業の話しというよりはサバイバリストのそれとして響いたが、もしかしたら私たち日本人は最後の最後にはこの二人のように暮らすことを迫られるのではないかとふと思ったりした。その際そこに希望を見るためには「豊かさのとらえなおし」が必要だ。
“自分たちが豊かに暮らすために創造する。余ればそのときに売る”
“楽する楽しさはダメ。愉しむ。それは労働の達成感から”
“豊かさをお金で測ってはダメ”
“人間にとって大切なものは蓄積されていく。”
(農業に携わろうとする後輩達に対するアドバイスは私には原発事故後の全ての日本人に対するそれに聞こえた。)
そして夫婦のあり方として共感したのは、
「お互いを『〜さん』と呼び合うこと。それが対等の関係を維持する秘訣であり、個の尊重につながる。故に二人三脚ならず、二人四脚。二人いるのだから足はちゃんと4本でなくてはならない。」との主張。そうでなければ新たな豊かさなど創造できないと言わんばかりだ。(実は私たち夫婦もお互いを「〜さん」で呼び合っている。崇高な理由があるわけではないが。)                    
… NO2に続く

ニューファーマー・フォーラム2011レポート(NO2)
             
さて、基調講演のあとは山形県内で活躍する農業に関係する女性たちからの活動紹介へと移ったが、タイトルは「先輩&若手女性農家に聞く・農における女力」というもの。
5名の女性登壇者は職業や立場が異なっているものの皆魅力的な方々ばかりだった。
女性のみの農場を設立し多様な活動を展開する若手女性経営者
http://www.kf831.com/girls/index.html
嫁として農園を切り盛りしながら、地産地消や担い手育成でも活躍する主婦
http://www.city.yamagata-yamagata.lg.jp/shiseijoho/sub2/kakuka/kikaku/danjo/annai/files/purana/No.34/34-2.pdf
地域の食文化の伝承、農産加工の推進にも努める農家レストランの女性オーナー
http://nagomi1224.exblog.jp/
小学校の体験授業で米作りに魅せられ、以来夢を追い続けて就農にこぎ着けた女性
http://agrin.jp/page/3825/
東京在住でありながら地方の農家の応援隊を結成しボランティアとして活躍する女性
http://www.treep.jp/blog/earthday/
(活動報告はどれもとてもおもしろかったのでそれぞれのURLをクリックして是非その一端に触れて欲しい!)
活動報告の中で印象に残った言葉を紹介させてもらうと
農業をやりたい女性は増えている
女性らしい農業とは楽しい農業
男性であること、女性であることの前に大切なのは人であること
みんなが楽しく働けるようになるにはどうしたら良いのかを考えるのが女の力
農家レストランの3つのこだわり=地産地消・手作り・季節のもの出す
女性が農業をやっていても違和感のない社会を作りたい
小学生の頃から米を作りたくて雑草を使って田植えごっこをして遊んだ。
都会の人が土に触れるきっかけを作りたい、などなど。
(女性ならではの発言の中にハッとさせられるものもあった。)
何か不純な動機を疑われそうで恐縮だが、個人的には若手女性の方々の今後に大変興味をそそられた。
事前の下心に関しては前述した通りだが、彼女達の話しを聞いていて私が思い出したのはフランス現代思想家・内田樹氏の言葉の数々である。
例えば、神戸女学院大学の文学部名誉教授として20年以上女子大生を指導してきた内田氏は「最終講義〜生き延びるための六講〜」(技術評論社)に「生き方のシフトは若い女性から」と題して次の様に述べている。
“…昔だったら間違いなく「こんな田舎でくすぶって家業なんか継いでもしょうがない。早く都会に出て、横文字職業に就きたい」となったと思います。でも今の人たちはそうじゃない。田舎暮らしも農業のことも、とても肯定的に、面白そうに話してくれる。おじいさんおばあさんが農業やってて、両親はやってないんだけれども、このままだと継ぐ人いないから私がやろうかな、そんなことをごく自然に言ったりするようになってきました。風向きがずいぶん変わったなという感じがします。…中略…どう見ても若い女の子たちの方が、時代の潮目の変化を感知している。“ 

 私はこの日、“時代の潮目の変化を感知している若い女性”を見たのだった。
今は地球全体で異常気象ゆえの災害が猛威を振るっているように見えるが、それは地球生命体が自らのバランスを取り戻そうとしているからこそ起る現象であると言われている。もしそれが事実なら、母なる大地といわれる通り、自然とどこかでつながっている女性たちもこの地球の動きに”感応“し始めているのではないか?

フォーラムが終了した後の交流会で、それを裏付けるような話しを登壇者の女性たちから聞くことができた。
応援隊を結成してボランティア活動を行っている女性からは「都会にいると土に触れたいという欲求に駆られる時がある。細胞の奥から動かされているという感じがする。」なんて凄い言葉が聞かれたかと思うと、ガールズ農場の代表からは「教育学部で心理学を勉強していたが、子供に安心できる環境を残しているのかと疑問を感じるようになった。」など、教育の一端を担う現場で働いていた私には十分に共感できる話しを聞かせてくれた。
さて、話しはつきないが、最後にこのフォーラムに参加して私が感じたことを2つ記してこのレポートを終了したいと思う。
まずひとつは、原発事故後の世界を“復旧・復興”ではなく“転換”させなければならないと考える私のような者にとって、やはり「農業と女性」は重要なファクターであることを改めて認識させられたということ。「経済優先」ではなく「生命優先」の世界はこの二つの中から立ち上ってくるはずだ。
ふたつ目は、農業をとりまく環境が依然厳しいものだとしても、今回のように知識や経験、精神が継承される場が機能する山形県の農業をとても羨ましく感じたということ。
(放射能にまみれた我が福島県の農業は今後どうなるのか? パネルディスカッションではTPPに対する危機感についても触れられたが、福島県はその土俵にすら上れないのだ。)
今回集まった若い農業人たちのこれらの動きをTPPなんかで台無しにしないで欲しい。そしてTPPなんかに負けないで欲しい。そんな思いを強くして会場を後にした。 以上

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