最上義光歴史館 - 山形県山形市

▼館長裏日誌 令和7年7月31日付け

■ 大阪万博の話 (今回は「語れば長い話」バージョンです)

 開幕前の予想に反し大阪・関西万博はSNSでも盛り上がっているそうです。その理由は、いわゆる攻略法が多種多様で、みんなそれを発信し、入手したがるからとのことで、つまりはそれだけ苦労している人がいるということでもあります。
 チケットの登録からはじまり、パスワードをどうするとか、予約が必要なパビリオンはどことか、行く前から突破すべき壁がいくつもあります。来場してからも、暑さ対策とか、イベントのポイントとか、食事処とか、おすすめグッズとか、言わば一挙手一投足すべてにわたり攻略法の情報が行き交っているのです。
 まずはチケット登録とパビリオン予約ですが、チケット購入後に行う最初の個人情報の紐づけだけで、もう行く気が削がれます。しかもパビリオン等の予約は1日につき一か所のみで、2カ月前と7日前の抽選機会でハズれると、先着順の3日前予約となるのですが、本当にこれで取れる人がいるのかと思うくらいこれが難しい。まずアクセスまで1時間以上待たせるのに、接続後は制限時間10分で切れてしまい、それ以降はまた初めからアクセス待ちという、なかなかの根性のサーバーを相手にしなければなりません。入場後の当日予約も入場早々、ひたすらスマホをいじらなければならなく、しかもほとんど空きがありません。ここで〈攻略法その1〉。予約優先のパビリオンでも、朝一番に並べば入れる可能性が高いので、スマホの予約に頼るよりとにかくそこをめざしてみましょう。
 つぎに暑さ対策ですが、朝とは思えぬ強烈な日差しのもとゲートインまでに1時間以上並び、入ってもまたすぐにどこかのパビリオンの日陰もままならない行列に並び続けることとなります。ドリンク類の自動販売機やトイレは要所々にあり意外に苦労はないのですが、無料給水機については水量が少なくどこも20人以上が並んでおり時間がかかります。30か所あるとのことなので、どこか穴場というか攻略法があるのかもしれません。さてここで〈攻略法その2〉ですが、給水所利用には水筒持参を。また、あらかじめ氷を入れておけばかなり違います。凍らせたペットボトルならネッククーラーがわりにもなります。まあ、時間のない方や暑さで弱っている方には迷わず自動販売機をおすすめしますが、ちなみに現金は使えません。団体できていた中学生は、二次元コードが印刷されている紙をもたされていて、飲み物は会場内のコンビニなどで購入していました。多分、スマホ決済が禁止され、上限額も決められているのかなとは思いますが、学校で行くのも何かと対応が大変のようです。
 実はこんな灼熱地獄から逃れるため、早々にパビリオンに並ぶのをやめ、逃れた先が大屋根リング下の「ミャクミャクくじ」(一回2200円、現金不可)の行列でして、おかげで1時間近く日陰で涼むことにはなったのですが、とにかくここでも並んでミャクミャクぬいぐるみを入手しました。そのぬいぐるみには大中小の3サイズがあり、くじ引きで大きさが決まるのですが、こういうことに滅法弱い私は、やはり「小」しか当たりません。それでも「大」が当たれば一日中これを連れまわすことになると思うと、「小」でよかったとも思うわけです。そこで〈攻略法その3〉ですが、「ミャクミャクくじ」で「大」が当たったときは、そのまま宅配便で送るのがよいかと。会場内にはロッカーがないのです。もっとも、当たればという話ではありますが。
 この「ミャクミャクくじ」に並ぶ前に、並ぶことをお勧めしたいのが、各国のパビリオンのレストランです。本格的な料理が期待できるところも多々あり、ただ大半は、11時をすぎるとほぼ満席で、空席待ちどころか入場制限がかかることも多いようです。ここで〈攻略法その4〉。昼食には早い時間かなと思っても、空いていればすぐに並ぶことをおすすめします。一方、各国グルメは無用という方には、場内のコンビニエンスストアがおすすめ。ほぼ市中価格でおにぎりやサンドイッチが買えます。気を付けたいのがパピリオンにあるカフェ。およそ市中価格の3倍です。300円くらいのアイスが1000円、ジュースも250円くらいのが800円という具合です。なんか妙に安い感じなのが飲食店のビールでして、500円と張り紙がしてある店をいくつか見かけました。
 さてさて、会場はさすがに広く、方向感覚すらなくなり、地図なしでは行きたいところに行けないのですが、すばらしいライフハックを見かけました。場内マップをうちわに張り付けるというものです。一石二鳥とはまさにこのことで、いちいちバッグから取り出す必要もなく、暑さ対策もなるわけです。とにかくスマホだけで位置確認をしでいてはバッテリーがもちません。
 公式マップはインフォメーションで有料(200円)で買えますが、正直それほど役立つものでもなく、お土産用かと思います。まして公式ガイドは重いだけ重くて全く役に立ちません。インデックスすらないのです。ちなみに「ぴあ」の「完全攻略編」は、すみからすみまで大事な情報ばかりで必携です。付録のマップも秀逸です。
 当初、この万博ではデジタル化を前面に押し出していましたが、デジタルの弱点も次々に露呈しています。バッテリーやアクセスのトラブルのため、万博協会ではチケットと地図はあらかじめプリントしたものを用意することを勧めています。コンセプトとしては、デジタルで並ばずに、としていましたが、予約のアクセスもままならず受付終了となります。整理券の方がまだましかと。予約できた場所ではチケットを読み取りするのですが、とある会場では、システム不調のため読み取りできず、とりあえずこれに名前を書いて並んでくれと回覧板を渡されたこともありました。
 いずれにせよこの「うちわマップ」というアナログ技術は、明らかにデジタル技術をしのぐものがあるようです。ここでふと、思い出したのですが、山形駅の真ん前にある某ラーメン店ですが、入口のガラス戸に「会計は現金のみ」と張り紙がしてありました。10種類前後はあるであろう決済方法やポイント利用の面倒さ、通信回線や手数料などを考えると、店側としては現金のみとしたいのはよくわかります。ただ、インバウンド対応や現金管理となると悩ましいところではあります。
 あ、すみません、こんな情報ばかりで。しかし記憶に残っているのはこんなことばかりでして。とりあえず話題の人間洗濯機もみましたし、空飛ぶクルマ(これは車なのか?)の記念撮影もできたのですが、何がおすすめと言えるほどの数が見れたわけもなく、それは通期パスポートでも持っている方にでも伺うしかないのですが。ただ、日本館はいかがなものかと。リサイクルをテーマに費用もかなりのものとは思われましたが、この展示は恐らくわからない人には意図がわからず、わかる人にはわざわざこんな展示をしなくてもわかるだろうというもので、あまりメディアに取り上げられない理由がわかるというものではあります。正直これならミャクミャクハウスの方がありがたいというか訴求力はあるのでは。
 実のところ大阪・関西万博は、山形からすると距離的にも心理的にも遠いイベントで、特に平日は仕事がらみで行くようなもので、同級生でもある某人道団体の事務局長や某IT会社の社長も仕事がらみで行ってきたと言うので、それぞれ体験話をきいたのですが、仕事がらみで行かなければならないパビリオンの他はあと一か所程度しか見られないとのことでした。それはイタリア館に5時間並んだ後、よしもと館で涼んだとか、日本館をみた以外はコモンズ館で暑さを凌いだとかで、仕事でもなければ行かないとのことでした。しかしながら、6月末に来場者が1000万人に達した時、その1000万人目は山形市からきた家族ということで、山形から行くのは仕事がらみばかりだ、などと勝手に決めつけてもいけない感じでもあります。ここで〈攻略法その5〉。5時間待ちのイタリア館ではありますが、午後8時頃に並ぶと1時間待ちで入れたりします。フランス館やアメリカ館も同様です。ただし、並んでいる人が多い場合は、午後8時前に締め切られてしまうこともありえるのでご注意を。
 意外に面白いのは、アフリカや南太平洋、中南米などのブースが並ぶコモンズ館です。初めてみる国名もあり、中には、自国の首相の写真パネルや特産品を並べるだけという展示ブースもみうけられます。そんな中でジャマイカの展示ブースには、ボブ・マーリーやウサイン・ボルトのマネキンがあって、一緒に記念撮影ができ、マネキンと同じポーズで楽しんでいる方も多く、国威高揚というよりもサービス精神あふれる潔い展示に、座布団をさしあげたくなります。
 コモンズ館では、「NOT FOR SALE」を掲げるウクライナとか、値切り体験ができるイエメンの売店が話題ですが、各ブースやパビリオンにはスタンプが置いてあり、イベント価格の公式スタンプ帳もありますが、普通のノートにバンバン押している方もよく見かけました。コモンズ館では一気に30前後のスタンプを得ることができ、私の同伴者も展示見学はそこそこに、ここでの効率のいいスタンプ集めにはまっていました。
 とにかく、これらのスタンプをコンプリートできれば、かなりの思い出になるかとは思います。コンプリートまでにはかなりの労力というか修行のようなものとはなりますが。ただ、これを思い出としてではなく、お宝として売りに出す方も、もしかしたらいるかもしれません。ところでこのスタンプは、うっかりすると上下さかさまに押してしまうこともあり、実際、自分もやらかしました。そういうのは「訳あり品」ということにでもなるのでしょうか。ちなみに来場者1000万人記念スタンプというのも置いてありました。
 また、花火やドローンショーは、その時間が近づくと「どこからでも観られます」との会場アナウンスがありますが、場所によっては手前のパビリオンが明るすぎたり、大屋根リングの上は座り込み禁止だったりしていて、ちょっと見物場所には難しい場合があります。そのベストポジションというのは、実はレジオネラ菌で中止となっているあの噴水ショーの観客席だったりします。また、ビッグハットというパビリオンにはプロジェクションマッピングが投影されるのですが、それが見やすい場所というと、それこそSNSでと言いたいところですが、これがまたいろいろな正解があるようです。
 最後にお土産の話ですが、ショップは夜10時近くまでやっており、パビリオン終了後も買いまくることができます。とにかく種類は豊富なのですが、なぜかミャクミャクのぬいぐるみだけはバリエーションに乏しく、サイズによっては「ミャクミャクくじ」でしか入手できません。しかも、全てがイベント価格でして、レジ袋までもそれなりの値段がします。まあ、かく言う私も、疲れて思考停止していたこともあり、普段ならありえない散財をいたしました。例えば、ミャクミャクの肉とも言われる赤色と青色に着色された「さきいか」を10袋とか、しゃべって歩く「電動ミャクミャク」などもエイヤッとばかり買ってしまいました。個人的には、金太郎飴のような「ミャクミャク消しゴム」や、透明なボールに像が入っている「ミャクミャクスーパーボール」などがおすすめですが、小学生か。
 なんだかんだと興味深いものが数多くある万博ではありますが、暑さとあいまって行列ばかりで体力的にきつく、コスパ的にもタイパ的にも遠方からは考えものでして、評価としては某ミシュランガイドでいうところの、「近くに訪れたら行く価値のある優れた」もの以上ではあるとは思いますが、「そのために旅行する価値のある卓越した」ものかというと人によります。もちろん何度でも行ける近郊の方には、大変よろしいのではと思います。あとは、国税負担が生じないことを祈るばかりです。
 以上、語れば長い話でした。

[画像]
↑ミャクミャクのある風景@ マンホール蓋

[画像]
↑ミャクミャクのある風景A 背後にガンダム




2022.07.31:最上義光歴史館

HOME

yoshiaki

powered by samidare