最上義光歴史館

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■白い花の話
 ツツジと言うと、かつて某市立病院を建て替えたときに、病院の周囲を白いツツジの植栽で囲んだところ、人を弔うような感じがするとの市民からの声があり、色のついたツツジに植え替えたことがありました。確かに盛大な葬祭などでは、壇上を白い菊のとかで飾ることはありますが、あとはユリや白いカーネーションなども飾られるでしょうか。四十九日までは白い花という仏事もあるそうです。
 ところが近年、人を弔う時の色は、白ばかりに限るものでもないようです。最近、義母が亡くなったのですが、その棺の中には色とりどりの花を添え、その棺もオプションでしたが桜色のものでした。以前、「花びらの白い色は、恋人の色ぉ〜」とベッツィー&クリスという人たちは歌っていましたが、ああ、それでか。実は病院が恋人の色になることも問題だったのかと。

■植木市の屋台の話
 今年の「薬師祭植木市」には350店が出店予定とのことですが、植木を扱う露店は少なくなり、多くは飲食物を扱う屋台です。その屋台もだいぶ様変わりをしていて、近年目立っているのが「10円パン」という500円のパンです。御承知の方も多いかとは思いますが、10円を模ったベビーカステラのような生地の中にとろりとしたチーズが入っているもので、カスタード味やあずき味もあるのですが、もとは韓国の「10ウォンパン」が発祥です。ちなみに10ウォンというのは、大雑把に言えば1円程度です。
 近年の屋台では、なぜか韓国メニューが増えてきており、トッポギとかチーズハットグとかキンバとかチヂミとかも見かけます。こうなるとそのうち、植木市でも「チンチャ マシッソヨ!」(超うまい)とか言いながら食べ歩くことになるのでしょうか。
 ちなみに、かしこまった表現をする場合は、「マシッスムニダ」、友達や年下の人に対して使う場合は「マシッソ」と言い、独り言として「おいしい」と言いたい場合は「マシッソヨ」の原型である「マシッタ」となるのだそうです。これだけ覚えれば、韓国屋台のグルメ通を名乗れるかも。

■どんどん焼きの話
 山形の屋台グルメと言えば、なんといっても「どんどん焼」でしょう。山形のソウルフードであり、芋煮以上に愛され、ましてラーメンなどは最近の話です。「どんどん焼」とは、関西以西で言うところの「はしまき」で、割りばしに巻いたお好み焼きですが、仙台では「くるくるお好み焼き」とも言うらしく、これが一番わかりやすいかもしれません。
 昔、この山形城というか霞城公園の北門付近では、自転車で屋台をひいたおばちゃんがこの「どんどん焼」を作っていたのですが、やがてバイクで屋台をひいたおじちゃんが作るようになり、場所も北門から大手門付近に移っていった記憶があり、そのうち、お祭り以外には見かけなりました。
 通常のどんどん焼は濃いソース味ですが、頼めばしょうゆ味にもしてくれ、かつては卵入りというオプションもあって、これはしょうゆ味の方が合うような気がしたのですが、この卵入りはこどもにとっては高級品で、そうそう頼めるものでもなく、たしか卵を持参すると普通料金で焼いてくれたような記憶があります。
 「どんどん焼」については、フリー百科事典「ウィキペディア(Wikipedia)」がアツくて驚きますが、とりわけ山形の「どんどん焼」の説明が詳しく、ここに熱いソウルを感じます。欲を言えば、現在の状況についてアップデートがほしいところです。

■ハッカの話
 お祭りの屋台というと、小さい頃は「ハッカパイプ」がお気に入りでした。ビニール製のパイプとか小さな人形のような容器にハッカ砂糖が詰めてあり、それを吸うもので、ホイッスルになる容器もあり、首掛け用のヒモも付いていたりします。
 これとは別にハッカ糖というのもあり、これをくだいても、似たようなものができそうですが、最近は大人用のハッカパイプというものもあり、これはパイプやキセル状のものにメントールの結晶を仕込んで吸うというものです。さらには、これを炙って吸うという方法もあり、もしかしたら、粉末を鼻から吸うという方法もあるかもしれません。なんかアヤしい感じにはなるのですが。
 さて、ハッカは、北海道産が有名ですが、実は、山形県天童市高擶出身の屯田兵が北海道にハッカを持ち込んでその礎を築いたそうです。いまも天童市高擶ではハッカを栽培しており、在来種の「山形赤円(あかまる)」はやさしくて爽やかとのこと。実は天ぷらもおすすめだそうです。ハッカというのは虫よけにもなり、知り合いの大工さんは、虫よけとしてハッカ油をつけると言っていました。ハッカ油の使い方としては、風呂に数滴入れるのもよく、スースーとポカポカが同時にきて夏でも冬でもいいのですが、量が多すぎるとむせったりヒリヒリしたりします。
 ハッカに似たものにミントがありますが、酒飲みとしてはこれからは「モヒート」の季節、そう、あのヘミングウェイの愛したカクテルのひとつです。山形ではつと知られた老舗のバーで、説教好きの老女バーテンダーが一人でやってる店があり、ある日ここでモヒートを頼んだところ、「今、ミントを切らしていて、店の外にミントが生えているかもしれないから摘んできて。」と言われ、店の外に出ると、確かに入口の一角に何やらごそごそと草木が生えていて、酔っ払いが何かをまき散らしてもわからないような感じなのですが、やはりミントも生えていて、それで作ってもらうことができました。
ちなみにこのバーの看板カクテルは「ジントニック」で、大ぶりなグラスにたっぷりと作る、他所には類をみない絶品です。山形に来るいろんな有名人がこれを飲みにくるという話で、ここは間違いなく本格的なカクテルバーなのですが、店名はなぜかワイン産地の名であり、しかもその老女バーテンダーは、瓶ビールを飲みながら接客(説教も)します。