最上義光歴史館

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■ 梅は咲いたかという話
 梅の歌というと、「東風吹かば〜」という歌よりも、「梅は咲いたか〜 桜はまだかいな」という歌が先に浮かんでくるのですが、さて、その後はというと、どうにも出てきません。ということで、この機会におさらいを。

〽 梅は咲いたか  桜はまだかいな  柳ャなよなよ風次第 
山吹や浮気で色ばっかり  しょんがいな

「世界の民謡・童謡」というサイトによると、「これは明治時代に流行した俗謡『しょんがえ節』を基にした江戸端唄(はうた)・小唄で、花柳界の芸妓たちを季節の花々や貝に例えて歌っている。」とのこと。ここで「貝」というのは、この歌の続きが、

〽 アサリとれたか  ハマグリャまだかいな  アワビくよくよ片想い 
サザエは悋気(りんき)で角(つの)ばっかり  しょんがいな

というもので、同サイトの解説によると、「柳はゆらゆらと移り気で、山吹は実を結ばない浮気性。「七重八重 花は咲けども 山吹の実の一つだに なきぞ悲しき」とも歌われる。アワビは二枚貝ではないため相手がおらず「磯の鮑の片思い」とも例えられ、悋気は嫉妬のこと」だそうです。そして歌詞の最後は、

〽 柳橋から小船を急がせ  舟はゆらゆら波しだい 
舟から上がって土手八丁  吉原へご案内

ということで、つまり吉原を歌っていたのですね。あの石川さゆりさん(なぜか登場が続きますが)が歌っている動画もネットで観ることができます。
 先日、某チコちゃんの番組で「ひやかし」の語源について説明していました。江戸時代の紙職人は、古紙を煮てそれが冷えるまでの間(つまり冷やかし)、吉原まで出掛けるものの、金はないので、歩いていって覗くだけだったことに由来し、吉原で遊ぶような人は舟に乗ってくる、との説明がありました。これで「柳橋から小船を急がせ」からの歌詞も理解できたかと。
 それにしても5歳児に「吉原」をどう説明すればいいのでしょう。あるいは「銀座」とか「六本木」とか「歌舞伎町」とかも、どう説明すればいいのでしょう。もっとも私自身、人に説明できるほど行ったことはないのですが。
 昔、一世を風靡したお笑い番組では、「今日は吉原、堀之内ィ〜、中州、すすきの、ニューヨークゥ〜」という歌が流れていましたが、当時、5歳ぐらいの子もきっと、これを観ていて、わけもわからず歌っていたのではないのでしょうか。もっとも、わけがわかっているとすれば、それはそれで心配ですが。ところで、この並びで「ニューヨーク」というのはどうなんでしょう。「ロンドン」というお店なら昔山形にもありました。子どの頃に聞いたそのCMソングによると、楽しくて愉快なお店らしいです。

■ 記憶力についての話
 「百人一首」を暗記させるという学校があるそうですが、ゲーム感覚で覚えればさぞかし楽しい、というか、「百人一首」でゲームができるわけで、覚えていれば、なんか人生も豊かなものになるような気がします。残念ながら私は、上の句が読み上げられれば、下の句が言えるような歌などまずなく、人生がそんなに豊かな感じがしないのも、そういうことかもしれません。
 ということで、未だに「百人一首」を覚えられないのですが、「平家物語」の「祇園精舎の鐘の音〜」とか、「枕草子」の「春はあけぼの〜」とか、「方丈記」の「ゆく河の流れは絶えずして」とかのいずれかを暗記させられたような、それすら記憶があいまいですが。どこか山形の学校では「奥の細道」の「月日は百代の過客にして〜」なども暗記させているかもしれません。とにかくいずれも、人生哲学にきっと役立つようなものばかりで、覚えていても損はないような気がします。
 昨今は、必要なときにネットで検索すればいいし、などと思い、記憶をネットに頼ったり預けたりするのが当たり前で、しかも皆がそうなので別に責められることもなく、暗記という行為は疎まれるばかりです。かく言う私も、この暗記というのが苦手で、覚えるのが苦手な上に、すぐに忘れてしまいます。基本的に、関心のないものは覚えられないし、残らないそうです。確かに小さい頃は、怪獣やら怪人やらの名前ばかりかその特技や弱点という使い道のないことまで覚えられたのに、今となっては、刀剣や甲冑などの名前はほとんど覚えられず、歴代の山形城主の名前もかなり怪しいです。
 ただでさえ貧弱な記憶力が、加齢でますますダメになっていて、ロコモティブシンドロームがくる前に、記憶力シンドロームとかがきている感じで、なんかテレビの通販で記憶力にいい薬があるとかないとですが、コンドロイチンとかより先に入用かも。
 とにかく暗記力があるというのは素晴らしいことです。例えば、電話番号が暗記できていれば、いちいち調べることもなく、人の名前が暗記できれば、それだけでビジネスがはかどるというものです。いちいちレファレンスに頼る必要がないというのは、時間が節約できるわけで、ぼんやりと覚えていてぼんやりと答えたりすると信用にも関わります。そして、しつこく覚えている人には、やはりかないません。こちらは「覚えていろよ」とか言われても、覚える自信もないくらいですが。
 記憶が必要なのは、例えば論理的思考が求められるという数学も、大学入学共通テスト程度までは暗記科目です。というか、限られた時間内に回答するには暗記しかないからです。これがトップクラスの大学の二次試験となると、さすがに思考力が問われるというか、解法がひとつでないような問題もあります。
 数学は理詰めとは言え、暗記するしかないような事例も多く、例えば、ちょっと入試レベルを超えるのですが、「1/sinxの不定積分は?」という、たったそれだけの問題ですが、これが自力で解けるとなれば、それは相当なセンスの持ち主でしょう。これの解法については普通、暗記するしかありません。試しに近くにいる理系の方に聞いてみてください。これがさらさらと解ける方は、本当に数学のセンスというか暗記力が確かな人です。
 とは言うものの、数学よりも多分、百人一首を暗記した方が、重宝するのではとは思います。つまり、さらっと歌などがでてくればかっこいいけど、さらっと三角関数の解法がでてきても、「そういうの、わからないので」と引かれてしまうだけだからです。あの「受験生ブルース」に、♪サイン・コサイン何になる〜、という歌詞がありましたが、私も少しは勉強したものの、仕事で必要になったことなどなく、逆に実用レベルでは、これより先を学ぶ必要があります。ただ今は、普通のことはAIでできるようで。
 ちなみに記憶が試される問題としては、「四国問題」という山形の人にとっては難しい問題があります。これは四国にある県名と県庁所在を答えるというものなのですが、これがすぐには出てこない。他にも、山形の人にとって難しい問題としては、大分、宮崎、熊本の位置関係を答えるというもの。どちらが北でどちらが西か、これもすぐには出てこない。もっとも、かの地の人から言わせれば、秋田と山形のどっちが北かわからない、とのことでしたが。

展示替えの作業のため
■ 学んでいない話 その1
 サイモンとガーファンクルの「冬の散歩道」が収録されている「ブックエンド」というアルバムには、老年の哀愁を歌ったような作品がいくつかあります。若いポール・サイモンが、なぜ老人の心境を描けるのか、ということも話題になりましたが、内容に反してジャケットは、ファッション写真で有名なリチャード・アヴェドンによるオシャレな肖像写真です。最近これを私は、中古のLPで購入しました。これは家人に言わせると「無駄遣い」という病癖なのだそうです。すみません。年を取ると持病が現れてくるのかも。
 さて、「亀の甲より年の功」ということわざがあります。これは「年長者は、長年経験を積んでいるだけに、若者には及ばない知恵や技能がある。さすが年長者だけのことはあると、称賛することば。」という意味です。自分もそろそろそんな風に重宝される歳ではないのかしらん、などと思っていたのですが、時代はリスキリングということで、昔のフォークがどうだなどという蘊蓄は用をなさず、DTMとかボカロとかを使いこなすくらいでないとダメかと。それが紅白出場歌手すらわからないようでは、やはりリスキリングが足らないのかと。すみません、無理です。

■ 学んでいない話 その2
 「井上陽水50周年記念ライブツアー『光陰矢の如し』〜少年老い易く 学成り難し」というコンサートは、2019年に山形でも開催され、会場は満席でした。確か「リバーサイドホテル」を歌おうとしたときに、「歳をとると毎回同じ曲を歌うのも大変で、この曲もねぇ、歌詞を読み上げるだけで済ませられたらいいですが。」とか言って、歌詞の冒頭を読み上げたりしていました。観客も井上陽水と同世代の方が圧倒的に多いのですが、さすが団塊の世代でして元気でしたが、トイレは長く、ものすごい行列でした。
 私事ですが、井上陽水を知ったのは中学の時、井上陽水が好きだという同級生の家に遊びに行ったら、井上陽水と名乗る前のアンドレ・カンドレという名前の時代のアルバムまで持っていて、さすが、どこぞの社長の息子だけのことはあるなと感心したのですが、同じようにそんなものを買うわけもいかず、その他にも持っているアルバムをいろいろ借りてはカセットテープにダビングし、その後も新しいアルバムが出るたびにレンタルレコード店から借りてきてはダビングして、皆さまもきっとそんな時代を経てきているのではとは思います。
 今となっては、ダビングしたテープなど行方知れず、中古で「井上陽水全集CD15枚組」なども入手しましたが、今どきCD盤など後生大事に持つものではなく、サブスクのネット配信とかを利用すべきかと。やっぱり「光陰矢の如し〜少年老い易く 学成り難し」ということで、時代は変化しているのに、追いついていないというか、学んでいないというか。

■ チャリティーコンサートの話
 サイモンとガーファンクルの「ブックエンド」というアルバムには「America」という名曲が入っています。ポール・マッカートニーの呼びかけで、アメリカ同時多発テロ事件(9.11)のわずか一月後に「The Concert For New York City」というチャリティーコンサートが開催されたのですが、このオープニングで歌われたのがこの「America」です。しかも歌ったのがデヴィッド・ボウイでした。これはつまり、イギリスの歌手がアメリカのフォークデュオの曲を歌うという、例えて言うならビリーバンバンの曲をチョー・ヨンピルが歌うようなもので、いや、イギリスの歌手が「America」を歌うという、例えて言うなら長渕剛の「JAPAN」と言う曲をブルース・スプリングスティーンが歌うようなもので、あ〜、また、ぐだぐだとしょうもないことを言ってしまいました。やはりここは「ジャパ〜ン」と郷ひろみが口火をきってほしい、いや、だから何の話だ。
 手元のCDによると、このコンサートは6時間にわたり開催され、1400万ドル(当時のレートで16億8千万円)の収益があったそうです。出演はボン・ジョビ(超日本びいき)、ビリー・ジョエル(あの「New York State Of Mind」も歌っています)、ミック・ジャガー&キース・リチャーズ(ローリングストーンズの初期からのメンバー)、ザ・フー(イギリスの三大バンドと言えばビートルズ、ストーンズ、フー)、ジェイムス・テイラー(妻はカーリー・サイモン、もしかしたら彼女の方が人気)、ジョン・メレンキャンプ(唯一の全米1位となったアルバムが「American Fool(アメリカバカ?)」)、エルトン・ジョン(名前の「ジョン」は、ジョン・レノンから採った芸名)、もちろんポール・マッカートニーも出演しています。(以上、カッコ内は筆者調べ、某長距離走解説者のような情報でしたが。)
 コンサートの最後にポール・マッカートニーが7曲を歌い、うち3曲がビートルズナンバーで、「Let It Be」ではエリック・クラプトンがギターソロを弾きました。例えて言うなら、玉置浩二が安全地帯の曲を歌い、そこで布袋寅泰がギターソロを弾くといった感じでしょうか、いやその、例えはいらないとは思いましたが。とにかくこれだけのビッグネームのスケジュールを、この短期間にどうやって調整したのだろうと驚きます。能登半島震災でもこんなチャリティーコンサートを、とは思うのですが、さすがに震災の翌月では難しいでしょうか。
 あとは、そこの曲はということですが、まずはご当地ソングかと。石川さゆりさんが持ち歌の「能登半島」を先日、某生放送番組で歌っていました。あと坂本冬美「能登はいらんかいね」という曲もあるのですが、震災で避難している状況に対し曲名があまりにも、と言うか「能登の出身だけどいりませんか」という意味らしいので。
 いや、別にご当地ソングでなくても、例えば紅白クラスの歌手が一堂に会して、多くの人の関心を集め、どぉ〜んと収益金も集めてくれればということで、あの多様性とか何とかでも全てありかと。そういう意味で紅白はまだ存在価値があるような気がします。