NORIYOs NOTE

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冷蔵庫の風通しが良くなってきたので、チラシをチェックしつつ、
車に揺られながら目的地のスーパーに向かう。

子供達を夫に預け、一時間後に本屋で待ち合わせ。

勝手にビールや食玩を入れられる心配がないから、
今日はカートを押しながらセレブ気分でゆったりとお買い物。

一列ごとくまなくまわり、真新しいものが出てないか見てまわる。

「そういえばおにぎり用の海苔切らしてたなぁ。」
思い出してUターンし、のり・佃煮コーナーに到着。

「むむむ…何だこれは!」

もうご存知の方もいるかもしれないが、私はこの時お初だった。
お弁当用の銀紙カップが「海苔」でできていたのだ。

その発想が何とも面白い。

以前見つけた「塩付きおにぎり海苔」もとっても重宝している。
ご飯に塩をまぶす手間が省けてとっても便利だからだ。


今ある商品を、違った切り口で販売するのは知恵のいるところ。
形になって世に出れば、あっという間に認知されるが、
そこにたどり着くまでが遠い道のり。

追い求めていればきっと何かが見えてくるはず。

そんな偶然のインスピレーションに心弾ませながら
仕事をするのはとっても楽しいではないか。






月の初めは気持ちも新たにリセットされてスタート。

気持ちのいい天気に背中を押されて保育所に向かう
いつもと変わらぬ朝。

「お母さん、今日はヨークベニマル1.2.サンドイッチだね〜シ―キチン買いに行こうよ!!!」
と、息を切らして自転車を押す母に話しかける。

「ん…?そうね、1・2・3の市(いち)ね。シーチキン買いにいこっか。」

スーパーの売り出しで、月の初めの3日間にコマーシャルが流れる。それを話したかったようだ。

保育所に着くと、慌ただしく子供を預けて会社へ向かうお父さん・お母さん達に挨拶をしながら、先生へ子供を預ける。

園庭は白線が引かれ、ブランコはひもで結ばれ、明日の運動会の準備は万端。

先生たちが選んだ「プレゼント」と手作り「金メダル」をゲットできるよう、
張り切る子供たちの熱気が伝わってくる。

わかれ際に、
「お母さんも社長さんから金メダル貰えるように頑張るんだよー」
と、お決まりのハイタッチをしながら激励される。

「……う、うん。何とか頑張ってみるよ。」


どっちが親だかわからない。
親がイマイチだと子供がしっかりするのはホントのようだ。













訪問介護員(ホームヘルパー)としてお客様宅に訪問する際に
やってはいけない作業がいくつかあります。

各事業所によっても取り決めは違いますが、共通しての決まり事です。

「生活援助」として入る場合、体に触ることはできません。
爪切りや、シップ貼り、トイレについていくのも不可。

体に触れた場合は「身体介護」になり、利用者の負担額が変わってきてしまいます。

「ちょっと手紙出してくるから、ヘルパーさん掃除してて…」
「家内(利用者本人)がもうすぐ帰ってくるから先に入って掃除してて…」
「冷蔵庫に切り身2枚入っているから、2枚一緒に焼いてちょうだい」

……も×なのです。

本人が在宅していないとヘルパーは入室できません。
利用者が使用していない部屋の掃除も×。
料理は、基本的にご本人の分しか調理してはいけないことになっています。

結構厳しいですよね。

ヘルパーとしても「この位なら…」と思ってしまうのですが、自分以外のヘルパーも交代で入るので、勝手には出来ません。

「この間のヘルパーさんはサラダ多めに作っていったわよ、お肉も焼いてお皿2つに分けてくれたし…。」
となると困ってしまいます。

お茶やお茶菓子をいただくのも原則いけないことにはなっていますが、
「ありがとう」という気持ちを精一杯あらわしてくださっているので
ご好意を受け止めつつ、たまにお茶だけいただいてくることもあります。

ヘルパーとしても色々なジレンマを抱えています。

介護事業所としても、質を落とさないよう実践的な勉強会を行って、
よりよいサービスを提供しようと努力を惜しみません。

国の制度自体も見直していくべきだと思ってはいますが、
目に見えるように変わらないのが現状です。

今出来る事を、限られた時間の中で
精一杯お手伝いさせていただきたいと思っている毎日なのです。









金曜日の夕方は一週間で最も忙しい時間。

会社を退社した後、一時間のヘルパーで風呂掃除・掃除機がけをこなし、
コンビニでニンジンとたまねぎを調達してそのまま保育所へ直行。

週末に持ち帰るお布団をかついで子供を乗せ、
ママチャリで帰宅。

体育着、給食エプロン、掃除エプロン、お布団カバー・・・
今週も3人分の洗濯がてんこ盛りである。


「今夜はちょっと冷えるから、さっき買ってきた野菜でシチューを作ろう。」

母が台所でお鍋にむかって独り事を言うと、
それを聞きつけた5才の子。

「わたしがつくる〜」

涙を流しながらたまねぎの皮をむき、
ピーラーで皮をむいたニンジンとじゃがいもを30分かけて切り終えた。

小さく切ってもらったおかげで、具材にすぐ火が通り、
最後に恐る恐る小さな手で、パキッと割ったルーをお鍋に入れる。

歯形のついたルーがあるが気にしない。
チョコレートのようにかじってみたかったらしい。


出来上がったシチューを味見して、

「ソーセージの味がしておいしい!!!」
「お母さんもあたしくらい美味しく作れればいいのにぃ〜」

毎度ながら言う事は立派である。
確かに、自分で作るより誰かに作ってもらったほうが美味しい。

心地よい疲れに染み渡るシチューの味であった。










今夜はとっても月がきれい。

家事を一通り終わらせて、疲れた体をいたわる様にボーっとできる
わずか数分の貴重な時間。

コンタクトをしている眼からは、ガラスを通しているように光が走って見えるけど
とってもとっても心が癒される。

十五夜の明日は雨のようだから、明日の分まで見ておかないと。


ほどなくして

「お母さん、はみがき仕上げして〜」
「お母さん、紙しばい読んで〜」


「はいはい。」
母の貴重な時間終了です。