最上義光歴史館

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 昨年、山形市は2月8日を「ラーメンの日」に制定し、今年の2月1〜11日に「『山ラー』フェア」を開催しスタンプラリーやトークイベントなど行います。このフェアとあわせ、当館にもお立ち寄りいただければ幸いです。「食べてから観るか、観てから食べるか」、昔、そんな宣伝文句があり、いや、あれは「食べる」じゃなくて「読む」でしたか、失礼しました。
 さて、この「ラーメンの日」というのは、総務省の家計調査においてラーメンの世帯当たりの消費額が県庁所在地で日本一となり、山形市が「聖地宣言」を行ったことによるものです。2月8日というのは、その家計調査の発表時期にちなむものです。
 山形市にはその他にも日本一があり、まず「さといも」と「こんにゃく」。これは「芋煮」の材料であるためですが、なぜか「炭酸飲料」の消費量も日本一です。これが本当によくわからず、炭酸飲料が芋煮会のマストアイテムというわけでもなく、コーラの早飲み競争が山形で流行しているわけでもなく、どう消費されるのかナゾなのです。あと日本一としては「たけのこ」があるのですが、これもよくわからず、「孟宗汁」とか「土佐煮」とかを頻繁に食べるわけでもなく、ちょいと牛肉とともに煮物にしたりはしますが、それでも重量ベースで2位の新潟市の2倍以上、金額ベースで2位の京都市の1.5倍というのはどうしたことなのでしょうか。
 とにかくこういうことからすれば山形市は、「こんにゃくの聖地」でも「炭酸飲料の聖地」でも「たけのこの聖地」でもでもよかったとは思うのですが、さてはともあれ「ラーメンの聖地」を宣言したのです。
 さて、ここで問題は、「おすすめの店はどこ」ということですが、その前にそもそも「山形ラーメンとはどんなもの」ということが問題です。これを山形市民に問うても、きっと某局のチコちゃんに質問された人のようになるかもしれません。まず、スープは牛骨、豚骨、鶏ガラ、魚粉、貝だしとなんでもありで、麺も細いちぢれ麺から太いストレート麺まで、チャーシューは牛、豚そして鶏もありで、つまりなんでもありというのが山形ラーメンの特徴です。関係者はこれを「多様性」と言っていまして、なんか先端を行っている感じはします。これを横文字で言えば「ダイバーシティ・ラーメンシティ」とでもなるのかしらん。
 そのうえで、どこがおススメかと問われれば、ここは「ソバリエ」の教えが役に立ちます。この「ソバリエ」というのは、かつて山形は、ラーメン推しの前にソバ推しだった経過があり、そのときにソバの案内役として、ソムリエをもじって「ソバリエ」というのを養成しました。その山形のソバというのも、そば粉は晒し粉からひきぐるみ粉まで、辛いツユから甘いツユまで、切り方も太麺から細麺まで、店によってまちまちで、ラーメンと同様に「山形そば」の定義ができないのですが、「ソバリエ」はうまいまずいということは言わず、どんなそばが食べたいのかを聞いて、それに合ったそば店を紹介するのを役割とします。例えば、更科系の上品なそばであればあそこ、そばの風味豊かな田舎そばであればここ、とお薦めするのです。これをラーメンにも適用してはどうかと。実際、ラーメンソムリエというのがあるそうですが。
 さて、本職のソムリエは、その品種や産地などの知識とともに「ワインの言葉」というものを持っています。アロマはとか、ポディはとか、アタックがとか余韻がとか、いくつかのポイントとともに、例えば、「ブラックチェリーの色彩にコーヒーの香ばしさ」とか、さらには熟成した赤ワインには「濡れた子犬のような匂い」とか、石油臭がするリースリングワインには「キューピー人形の香り」とか表現するそうです。まあ、客の方はせっかくの説明をきいても、そのうち酔っぱらって赤や白さえもごっちゃになってしまうのですが。
 では、ラーメンをそんな言葉で表現したらどうでしょうか。「蔵王山系の伏流水がきらめく黄金色のスープに、のびやかに育った肉牛のアロマと、恵まれた大地の小麦の香りが漂う、山形のテロワールが生み出した一杯。アタックは優しく、しかしながらボディはコクがあり、もう一杯食べたくなる余韻がある。」という感じでしょうか。どんなラーメンなのかよくわかりませんが。



↑ 「山ラー」フェアとあわせ、当館にもお立ち寄りを。今年は雪が少ないのですが、先日の大寒波のときはご覧のとおりでした。雪景色の中でラーメンが楽しめるかも。

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